先生
家に帰ると、鞄をポイッと放り投げ私服に着替えた。
お財布と携帯電話だけ小さいバックに入れ替えて、帽子を深めに被った。
一応、変装のつもりね。
家から出た私は、先生の携帯に電話してみた。
数回のコール後、先生は電話口に出た。
「先生、大丈夫?薬飲んだ?」
「とりあえず飲んだ」
なんだか、さっきより苦しそうかも。
呼吸の音が電話越しに聞こえてくるのだ。
「すぐ、行くね」
「来なくていい。風邪うつるから…」
風邪ひいてる時でも、私を心配してくれるんだから!!
「いいの!行くから待ってて」
私は電話を切ると、すぐに先生の家に向かった。
途中、スーパーで風邪でも食べられそうな物を買って行った。
記憶を頼りに、先生の家までたどり着くとインターホンを押した。
―――ピンポーン
……あれっ??
―――ピンポーン
………
中で人が動く気配がない。
寝ちゃってるのかな?
まさか、倒れてたりしてないよね?!
不安な事ばかりが、頭によぎってくる。
こんな事なら、合い鍵もらっておけば良かったかも。