先生

「……今日だけだよ」

恥ずかしくて、顔から火を吹きそうな私の前で、めちゃくちゃ無邪気に喜んでいる先生。

本当に可愛い。

「ア――ン」

こんな事、外でやったら完全にバカップルだよね。

家の中だから、許して下さい。

「美味しい?」

「うん、美味しい」

ホッと肩をなでおろしながら、次の一口を差し出すと、先生は美味しそうにほうばった。

こんな事を繰り返しながら、なんとお粥を全て平らげた先生。

満腹になったのか、お腹をさすりながら満足気に椅子にもたれかかっていた。

「結婚したら、毎日純那の料理が食べられるんだよなぁ~~」

いきなり、結婚という言葉が出てきてなんだかドキッとしちゃう。

「うん、そうだね」

「そしたら、毎日食べさせてもらえるなぁ」

妄想族に大変身している先生。
やっぱり、まだ熱が有るみたいだわ。

「ちゃんと薬飲んでね」

私はそう言い残し、洗い物をしに台所に行った。

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