先生
私が寝室に戻ると、先生は意外にもおとなしく横になっていた。
「薬飲んだ?」
そう言いながら、額を触る。
大丈夫そうかも。
「飲んだよ」
もう一度熱を計ったら、微熱に戻っていて少し安心した。
「良かった」
そう言うと、先生の手を握りしめた。
「心配かけてごめんな。昔から1年に1度位、一気に熱が上がって下がる日が有るんだよな。
知恵熱みたいに、すぐ下がるんだけどさ」
「そっか、覚えておかなきゃね」
ベットの脇に座る私に
「そこの封筒、開けてみて」
そう言って、サイドテーブルに置いてある四角い封筒を指さした。
「これ?」
私は手に取り中身を見ると、少し重みが。
封筒を逆さまにすると、中からシャリンと鍵が出てきた。
「これ……」
「合い鍵。渡そうと思ってたんだ」
合い鍵。
素直に嬉しくて、すぐにキーホルダーに付けた。
「いつでも来て良いからな」
そう言われて、泣きそうな位幸せだった。
「うん」
私は大きく頷くと、先生の手を再び握りしめた。