先生
慌てて先生に電話をした。
耳越しに電話が鳴る音が聞こえ、もどかしくなる。
早く取って。
―――ガチャ
『先生?』
『どうした?何か有った?』
先生の声を聞くだけで、少しだけ落ちつけた私は単純かな?
『いや、特に……』
『うそだ。その声は何か有っただろ?』
先生は私の声を聞いただけで、私の気持ちが分かっちゃうんだね。
『無いよ。先生の声が聞けて安心した』
私は素直にそう話した。
すると、少し間があった後
『……純那、今家?』
『うん、そうだけど』
って先生。
周りがうるさかったかな?
『会いたい』
思いがけない一言に、一瞬言葉を失った。
『私も会いたいけど…ダメだよ』
理性の塊。
だって、バレたら先生クビになるもん。
『純那、愛してる』
『私もだよ、先生』
そんな事言われたら、会いたい気持ちが大きくなっちゃうよ。
理性と感情の狭間で、不安定に揺れ動いている私の心。
辛うじて理性を保ちつつ、先生との電話を切った。