先生
「大丈夫だよ」
そう言うと、ポンポンと頭を叩く先生。
「大丈夫なの?」
「終電無いから、大丈夫」
そう言ってウインクした。
「先生!!」
もう1度先生に抱き付くと、しっかりと体にしがみついた。
「…先生、本当は会いたかったの。寂しくて……」
早口でまくし立てる私に、落ち着いた声で一言
「知ってる」
って笑いながら言った先生。
やっぱり、先生は私の王子様だね。
「せんせぇ…」
泣きそうな私の額に、キスをした。
「泣かないの。後、少しの辛抱だから」
「うん」
そう言った私の顔を引き寄せ、唇を重ねた。
久しぶりのキスに、体中の血が逆流する感じがする。
私の中に温かいものが流れてきて、この上ない安心感に包まれた。
『先生が好き』
再確認しちゃう瞬間。
先生、ワガママでごめんね。
唇を離した先生は、もう1度私を強く抱きしめると
『帰らなきゃ』
と言った。
車に乗り込み去っていく先生を、見えなくなるまで手を振りながら見送った。