先生
卒業式
今日が、この制服を着る最後の日。
この制服のおかげでこの高校を選び、そして運命の人と出逢えた。
制服を着た私は、鏡に向かって
『ありがとう』
と笑顔で呟いた。
下に降りると、お母さんにいつも通り
『行ってきます』
と、叫んだ。
玄関で靴を履く私に
「ほら、リボン曲がってるわよ」
そう言って直してくれた。
「卒業おめでとう」
眩しそうな顔で言うお母さんは、目に少し涙を溜めていた。
お母さん、早いよ。
「ありがとうございます」
そう笑顔で言うと、外に飛び出した。
いきなりの太陽の光に、眩しくて前が見えなくなる。
私は手を広げ1つ大きく深呼吸すると、1歩前に踏み出した。
長かったのか短かったのか分からない。
この道を通い始めた時は、こんな事になるなんて考えもしなかった。
【通い慣れた道】は
今日が終わると
【思い出の道】
へと変化する。
終わりが来る事は分かっていたけど、まだ信じられないでいた。