先生

―――キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴る。
篠は自分の教室に戻り、私と柚子は席に着いた。

少ししてから、先生が入って来た。


―――ガラガラガラ


スーツに身を包んだ先生は、いつも通り入って来ると教壇に立った。

「出席取るぞ」

そう言うと、いつも通り名前を呼び始める先生。

もう泣いていて居る人も数人居て、たまに返事が聞こえない時が有った。

先生のこの姿が見れなくなるって思ったら、また泣けてくるよ。


「―――新庄 純那」


「はい」


最後の返事をした後、ほんの少しだけ視線が合う。

それが、私をより一層泣き虫にさせた。

私は下唇を噛み締めながら、手に持っていたハンカチをギュッと握りしめていた。


出席をとり終わると、先生はパタンと出席簿を閉じて


『卒業おめでとう』


そう静かに言った。

その一言にはものすごく重みが有って、心にズシッと響いてくるんだ。

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