先生

「この学年のみんなは、入学当初から一緒だったな。3年間うけもてて、みんなの事は家族みたいな感じがするよ」

先生は少し視線を落とし、無言になる。
多分、涙を我慢しているのだろう。

そんな先生の姿を見ていると、やっぱり尊敬してしまいます。


「社会に出て辛い時や苦しい時に、この学校の楽しかった事を思い出して乗り切ってくれたら、俺は嬉しい……

本当に、卒業おめでとう」


そう言うと、先生は頭を下げた。

私達もそんな先生に、どこからともなく拍手が湧いてくる。


みんなが、一つの心になった瞬間。


とてつもなく温かい気持ちになった。


すると、スピーカーから放送が流れ、私達は体育館へと移動した。

動こうとしないみんなに、先生が立ち上がる様に促していたね。

体育館に入ると、在校生や父兄が私達を大きな拍手で迎え入れてくれた。


【卒業おめでとう】


そう書かれた壇上の文字を見た瞬間、やっと卒業するんだって実感が湧いたよ。

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