先生

中に入ると当たり前ながら、いつもの風景が広がっていた。

私は先生ん家の風景を、ゆっくり歩きながら心に焼き付けたんだ。


色々有ったな……


私は机の上のミルキーを見つけると、中から1粒だけ取りポケットに入れた。

フッと笑顔になる。


私は先生が帰って来る様子が無かったから、図書室に行く事にした。

あそこもかなりお世話になったから、最後に見ておきたかったんだよね。

小走りで離れた図書室まで行くと、一気に屋上まで階段を駆け上がった。


―――バンッ


ドアを開けると、青空が私をお出迎えしてくれたの。

私はフェンスに駆け寄ると、鞄を放り投げ数段よじ登ってみた。

校舎とグランドが一望出来る、とっておきの場所なんだよ。


次は誰が使うのかな、ここ。


私はフェンスから降りると、地面に寝っころがった。


空がいつもより近く感じる。


私が少し大人になったからかな?
そのまま少し目を閉じると、冬の風が体に刺さってくる。

でもそんな風が、今は心地良く感じた。

< 440 / 444 >

この作品をシェア

pagetop