先生
中に入ると当たり前ながら、いつもの風景が広がっていた。
私は先生ん家の風景を、ゆっくり歩きながら心に焼き付けたんだ。
色々有ったな……
私は机の上のミルキーを見つけると、中から1粒だけ取りポケットに入れた。
フッと笑顔になる。
私は先生が帰って来る様子が無かったから、図書室に行く事にした。
あそこもかなりお世話になったから、最後に見ておきたかったんだよね。
小走りで離れた図書室まで行くと、一気に屋上まで階段を駆け上がった。
―――バンッ
ドアを開けると、青空が私をお出迎えしてくれたの。
私はフェンスに駆け寄ると、鞄を放り投げ数段よじ登ってみた。
校舎とグランドが一望出来る、とっておきの場所なんだよ。
次は誰が使うのかな、ここ。
私はフェンスから降りると、地面に寝っころがった。
空がいつもより近く感じる。
私が少し大人になったからかな?
そのまま少し目を閉じると、冬の風が体に刺さってくる。
でもそんな風が、今は心地良く感じた。