先生
「もしかして、純那好きな人が居るの?」


感情的な篠とは逆に、超冷静な柚子。

柚子は長年一緒に居るせいか、かなり見抜かれているみたい。

私は首が取れそうな位、首を左右に振って否定した。


実際、どうなのか自分の感情が分からなかったから。


だから、嘘はついてないよ!!


「…本当に??」


柚子は、私の顔を覗き込んで聞いてきた。


私は、ものすごい近い柚子を見ながら

『うん』

と頷いた。


柚子は少し私の目を見つめてから


「分かった」


と言って離れた。
ホッとしたのも束の間、


「じゃあ、遊にちゃんと話さないとね」


笑顔で話す柚子に、心の中で『鬼』って叫んでいた。


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