先生
間近で見る真咲先生の瞳は、吸い込まれそうな位真っ黒で力強かった。


このまま吸い込まれたい……


そんなバカな事を考えながら、先生の顔を眺めていた。

いや、真っ赤な顔のまま硬直状態なだけだったんだと思う。


「最近の奴らはこんな事しているのか?」


不意に視界が広がった。

私は今まで息をしていなかったみたいで、いきなり新鮮な空気が入って来た。


「し…知らない!!!」


そう叫んだ私に


「お前が言ったんじゃん」


って突っ込みを入れる先生。




うっ……




確かにそうだけどさ、まさか実際にしてくるとは思わなかったんだもん。


膨れっ面の私に、はいと手を差し出した先生。


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