先生

いつまでも手を振る私に、

「早く入りなさい」

そう言って手を振ってくる先生。

私は頷くと、玄関を開けた。

「ただいま!!!」

一目散に2階に駆け上がり、部屋に入った。
床にカバンを投げ、窓に駆け寄ってカーテンを開けると、先生の車はまだ下に有った。


窓から見える先生の手には、タバコが挟まっていた。


窓を開けると、先生が吸うタバコの香りがしたんだ。

私が身を乗り出して手を振ると、先生も気づいたみたいで手を振ってくれた。


嬉しくて何度もバイバイしていたら、早く中に入れってジェスチャー。

渋々中に入ると、車が発進する音が聞こえた。


私は、ギュッと握り締めていた拳を開いた。



一粒のミルキー。



もったいなくて食べられないよ……



私は温かくなったミルキーを、机の上に置いた。



その日は、何度も先生とした会話を思い出して眠れなかった。


嬉しくて

幸せな時間。


そんな事を考えて居る内に、いつの間にか眠りについた。

< 97 / 444 >

この作品をシェア

pagetop