先生
いつまでも手を振る私に、
「早く入りなさい」
そう言って手を振ってくる先生。
私は頷くと、玄関を開けた。
「ただいま!!!」
一目散に2階に駆け上がり、部屋に入った。
床にカバンを投げ、窓に駆け寄ってカーテンを開けると、先生の車はまだ下に有った。
窓から見える先生の手には、タバコが挟まっていた。
窓を開けると、先生が吸うタバコの香りがしたんだ。
私が身を乗り出して手を振ると、先生も気づいたみたいで手を振ってくれた。
嬉しくて何度もバイバイしていたら、早く中に入れってジェスチャー。
渋々中に入ると、車が発進する音が聞こえた。
私は、ギュッと握り締めていた拳を開いた。
一粒のミルキー。
もったいなくて食べられないよ……
私は温かくなったミルキーを、机の上に置いた。
その日は、何度も先生とした会話を思い出して眠れなかった。
嬉しくて
幸せな時間。
そんな事を考えて居る内に、いつの間にか眠りについた。