たからもの

拓ちゃんの後ろで申し訳なさそうにこっちを見ている・・・あなたは?

「えっと・・・拓ちゃん、その人は??」

「あ、悪ぃ、びっくりさせちまったな♪」

私はわけがわからないままだった。

「こいつ、俺の中学校の友達!!」

「初めまして。なんか、ごめんね。幼なじみで集まるって聞いてたんだけど」

「こいつ来週引っ越すんだ。親の都合で。だからせっかくだし一緒に遊ぼうぜって俺が強引に誘ったんだ(笑)」

「誘われた。(笑)」

柔らかく笑うその顔は確かに私のしらないものだった。


名前は、絶対忘れるわけない。
斉藤朝日。それが彼の名前だった。

彼はすぐに、私たちと馴染んだ。
まるで前から仲のいい友達だったかのように。。


あの日、あまりにもいい天気だったからこれから起こることが一生忘れられない辛い出来事に変わっていくなんて、思ってもいなかった。
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