せーしゅん。【短編集Ⅲ】
―東公園。
「自然が綺麗だなって言いたい所だけど・・・」
そこには俺たちが知っている東公園の姿がなかった。
「ビルが建つらしい」
看板を見て早川がぽつりと言った。
そこは塀で囲まれていてただの工事現場だった。
「俺たちが中学生の時
人気が少なかったからなぁ~。」
「大人たちに見つかってしまったか」
俺たちは悪ガキだった頃の
大人にいたずらが見つかり
説教を食らうような気持だった。
「寂しいものだな」
後ろから女性の声がする。
「あっ」
俺たちは声をそろえて言った。
「久しぶり」
彼女は偽りのない笑顔で
笑って返した。