せーしゅん。【短編集Ⅲ】
いつのまにか
耳にしていた青春。
それを僕は知らない。
“ねぇ、青春って何?”
前にその意味を尋ねたのは
確かテレビゲームをしている最中。
隣で熱心にゲーム機を操作するキヤは“んー”と語尾を伸ばした。
「俺も知らねーよ」
やっぱり知らないか。
僕たち小学生には
まだ遠い話なのかもしれない。
「うえーい!
ヒイに勝ったぁ〜!」
僕が悩み事をしていると知らないキヤは
満面の笑みで拳を上に上げる。
「もぅ…一回!」
僕はリプレイのボタンを押す。
まだ
先の話か………。