せーしゅん。【短編集Ⅲ】
≪卒業式≫



でもそんなに遠くはなかった。



学校で


“青春の意味を答えなさい”


という課題が出された。




違うクラスのキヤのほうでも


その課題が出されたらしく



帰り道

「せーしゅんってなんだよー」


と石ころ蹴飛ばして

ずっと唱えていた。




「ヒイ、せーしゅん知ってるか?」


「知らないよ」



僕は仏頂面で答える。



だって今までその難題を


解くのを放棄してたんだもん。



知るはずがない。



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