せーしゅん。【短編集Ⅲ】
卒業式当日。
服装が中々決まらなかった。
出席するわけでもないのに
バレないようにしなきゃという意味で。
「ヒイ、はやく」
キヤに急かされ
僕は黄色の長袖とジーパンという
いつもの格好で家を出た。
僕の前を歩くキヤもいつもの服装で僕は胸を撫で下ろすが
さらなる不安が押し寄せてきた。
「卒業式に侵入して…
ほんとーにいいのかな…?」
呟いて気付いた。
こんなこと言ったら
キヤも不安になって
もしかしたら中止にしちゃうかも。
不安とドキドキ、
僕はそれに楽しんでいた。
それはキヤも一緒で
「俺は行く」
と駆け足で走った。