―虎桜伝 K O O U D E N―


何本も何本も知らない細道を通って、


いよいよ帰り道が分からなくなったとき、


一際細い道に女の子が滑り込んだ。


「はぁ…はぁ…」


暗くて向こう側が全く見えない。


でも聞こえる。


あの祭囃子が、今までにないくらい大きく。


この先に行けば音の正体が分かるんだ!


そしてこの毬をあの子に渡そう!


あたしは暗闇が広がる細道に足を踏み入れた。









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