―虎桜伝 K O O U D E N―


祭囃子は鳴りやんでいた。

今は静寂が辺りを包み込んでいる。


車の音も、家から漏れる生活音も一切聞こえない、静寂。


あの女の子は多分…この店に入ったんだ。


「ふぅー…」


乱れた呼吸を整える。


見た感じ和風の外観に似合わない、西洋じみたお洒落なアンティーク調のドア。

そのドアをゆっくり引いた。









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