―虎桜伝 K O O U D E N―
其の弐 珍時
カランカランッ…
来客を知らせる、ドアに取り付けられた鐘が軽快に鳴り響いた。
店内には客はおろか、店主まで見当たらない。
あの女の子も、いない。
天井の埃を帯びたシャンデリアが店内を薄暗く照らしているだけ。
目が慣れて、辺りをぐるりと見回す。
囲むように置かれている棚には、
物、物、物。
集められた骨董品がずらりと並べられていた。