―虎桜伝 K O O U D E N―
―――え?
「さっきここに来たんだが、肝心の鞠を落としてのう、祭りに出られないと嘆いておった。」
座敷わらし?祭り?
何が何だか分かんないんだけどっ!
「あ、あの…」
「いやぁ、しかしな〜」
あたしの呼び掛けも聞こえないのか、少し興奮気味に話続ける。
「人間の子がここまでこれたのは、お嬢ちゃんで二人目じゃよ」
人間…二人目?
「って、一人目はっ…」
後の言葉を遮って、おじいさんがピンッとあたしの方を指差した。
「一人目は、その子じゃよ」
指先は、あたしの手にあるチラシに向けられていて。
「虎門、そやつが一人目じゃった」