―虎桜伝 K O O U D E N―
やっぱり…!
「おじいさん、虎門は今どこにいるの!?」
ずっと行方不明のままの虎門。
昔は至るところに貼られていた【探しています!】と書かれたチラシも、
今ではすっかり見かけなくなって。
『神隠しに遭ったんだ』
そう言う人もいた。
跡形もなく、忽然と消えてしまった虎門。
それでも先生がいまだに彼を捜していること、あたしは知ってるよ。
「探してるんです、彼を」
しげしげと私を見つめるおじいさん。
「…違うじゃろ?」
きょとんとした顔で私に言った。
「お嬢ちゃんが探してるのは、そいつそのものではないはずじゃ。」
虎門そのもの?
そりゃ私は虎門と友達でも何でもない。
あたしはただ、先生に喜んでほしい。
それだけ…
それだけ…だよ?
おじいさんはじっと目をつぶっている。