―虎桜伝 K O O U D E N―
電柱もない、街灯も、家も。
何にもない。
代わりにあるのは、木。
天を突き破りそうなくらい大きいな木から、こじんまりとした小さいのまで、見渡すかぎりの木。
「どこなの、ここはっ…」
不安を和らげようと出した声は、情けない涙声で。
う…カッコ悪いなぁ、私。
こんなんだから、いつも先生は私を心配してくるんだ…
ポツッ…
え?
ポツポツッ…
うそでしょっ!
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