―虎桜伝 K O O U D E N―


電柱もない、街灯も、家も。


何にもない。


代わりにあるのは、木。


天を突き破りそうなくらい大きいな木から、こじんまりとした小さいのまで、見渡すかぎりの木。



「どこなの、ここはっ…」


不安を和らげようと出した声は、情けない涙声で。


う…カッコ悪いなぁ、私。


こんなんだから、いつも先生は私を心配してくるんだ…



ポツッ…


え?


ポツポツッ…


うそでしょっ!






< 23 / 26 >

この作品をシェア

pagetop