―虎桜伝 K O O U D E N―
まさかの、突然の雨。
どんよりと曇った空に、黒い雲が雨を運んできたらしく。
焦る私を尻目に、雨はどんどん強くなって。
キョロキョロ見回すと、暗い林の向こうに光が見えた。
誰かの家かもしれない!
雨宿りだけでも…
期待が膨らむのと同時に、私は走りだしていた。
頭から足の先までもうびしょびしょで、
まだ新しい高校のブレザーも、綺麗なプリーツのスカートも肌にまとわりついて今は不快。
走るときに跳ね返る泥で足を真っ黒にしながら、
光のもとに来たとき、
思わず息を飲んだ。