―虎桜伝 K O O U D E N―


「えっ…」


振り返り、はっきりと見た鮮やかなそれは、


幼い女の子が着ている着物だった。


「こんな夜遅くに…。一人で…?」


おかっぱ頭の女の子は手に綺麗な毬を持って、


楽しそうにくるくると舞っていた。


街灯が少ないこの細道でも、その女の子だけはくっきりと見て取ることができる。


…不思議。


どこか現実離れしていて、浮世絵でも見ているような感じ。











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