色葉
「陣は一時期女の子全般寄せ付けない時期があったのよ。


理由は言わない。というか、なんでなのかいまいち私もわかんないのよね


ただその時陣が離れて行くんじゃないかと思った幼い私は男だと嘘をついたの


男なら陣が離れていかない。傍にいれるなら女って思われなくてもいい。ただただ陣の近くにいたかった。


陣は未だにその嘘を信じてるって感じよ」


「つばささんにも可愛い時期があったんだね。でもそれだけで?」


疑わしい顔をする秀。


それだけであそこまで強固に陣がつばさを男だと信じる理由としては弱い気がする。言外にそれを匂わせる秀の発言は正しくつばさに伝わった


「本当にそれだけよ。


でも、その後に陣が証拠を見せろってうるさかったから


鏡のマジックってあるでしょ?箱の中に何も入ってないように見せるあれ


あれを応用して首から下を男子に替えて陣に見せたくらいよ。


小学生の時だったし、陣はあの通りのバカだったから簡単に信じたわ」


「それは、トラウマになりそう。つばささんは小さい頃からつばささんなんだね。」


「うるさいわよそこ。


でも確かにその影響か未だに私を男だと思ってるのよねぇ。取り戻そうと中学の時あらかたアピールしたけど、あの通り。

しょうがないから高校は引いてみたけど、裏目にでたかしら?」


「それはオレの口からは何とも。あ、一緒に昼食どう?陣くんと一緒に」


人好きする笑顔をむける秀


「本当に良い性格してるわ。どこに行くの?」


「ちょっと待って」


携帯を取り出し、メールを見る


「梅棟の屋上だって」


そんな訳で今この瞬間、姫と女帝の出会いが決まった



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