色葉
美鈴は無言でオレに重箱を押しつけ


真っ直ぐにエリサたちの方へと進んでいく


それをオレも黙って見ていた


美鈴怖いんだもん


そのまま美鈴は流れるようにエリサを引っぱたいた


って・・・・・・・・・・・・・・・・え!?


「あ、美鈴」


気まずそうに目を反らすエリサに、正常に戻ったのか?長はエリサを抱きしめたまま美鈴を見上げる


「何気を抜いちゃってるんですか?」


「だってぇ」


「だってじゃない!!!あれほど"生家にいる時のように学校では気を張れ"って言いましたよね!?」


「だってぇ」


「だってじゃない!!!全く。嫌な予感はしたんですよ。いきなり『昼食を一緒に食べたい』とか言うから」


「友達」


そう言っておずおずと長に手を回して抱きしめる


そんなエリサの行動に感激したのか



「もちろん」って即答してエリサをより強く抱きしめる長


相当気にいったんだなエリサのこと。後でこれで長をからかってみよう


「はぁ~」ため息をついて頭痛でもするのか頭を押さえている美鈴に話しかける


「エリサはそのどうしたんだ?」


長から友達って言われたのが嬉しかったらしく長に甘えまくってるエリサを見ながらきく


「箱入り娘なのよ。今まで教育って言えば家庭教師だったから反動よ。」


「反動?」


「友達いなかったからね。同じ年代といえば私くらいだけど私はあくまで従者。


周りにいるやつらには弱みを見せてはいけない、主人として威厳を保たなければならない生活。


ストレスたまるのよ


だから、周りに気をつけなきゃいけない人がいないとあぁなるのよ。


今までぬいぐるみ相手だったけど、今は初めての友達ってことね」


指を指したその先にはとろけきった顔で長に身を任せてるエリサ


猫が主人に甘えてるみたいだ

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