色葉
「さて、もうそろそろ人が来るのでやめなさい」


美鈴のその言葉に見てるこっちがやめてあげてと言いたくなるような悲しい顔を浮べるエリサ


「噂になって生家にその噂が届けば、この学校から去らなくてはなりませんよ?」


うなだれながらも長の体を両手押し返して立ち上がる


「食べましょうか」


うわぁ、すごく元気がない。かわいそうなほど元気がない


長は慰めてあげようかとエリサに向かおうとしたとこで美鈴に睨まれて止まってる


「エリサ。後来るのは秀だけだから説明すればわかってくれる」


エリサはよくわからないというように頭を傾げた


「だから、説明してわかってもらえれば、長に、友達に好きなだけ甘えてもいいんじゃないか?」


その言葉にエリサの表情は見る間にふて腐れた顔から輝かんばかりの笑顔に変わり


「ありがとう~」


と言ってオレに抱きつくエリサ


「わ、私。」


そのまま上を向いて決意を決めた顔をオレに見せるエリサ


「私、石動様と」


バン


扉が閉まる音。


誰かが屋上に来た音


みなの視線が音の方に集中した気がした


そこには秀と古川つばさがいた



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんであいつがここに!?


エリサはドンっとオレを突き飛ばし古川つばさに向き直る


「お邪魔だったかしら?」


何に対してもとれる言葉


一緒に昼食を取ることに対してか?それとも今このタイミングで入って来たことに対してか?


「いえ、歓迎いたします。古川つばささん」


さっきまでのデレデレ顔はどこへやら


キリッとした威厳あふれる表情で古川つばさに相対した


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