色葉
授業終了のチャイムと共に進学へと疾走した


目当ては言わずもがなの女帝様だ。


あいつならなんとかできる。それが古川つばさという人間だ。


ただ、引き受けてくれればだが。


普段なら絶対に行かない。代りに何をさせられるか考えただけで頼み事なんぞ絶対したくならない


小さな時から何度頼み事をして痛い目にあったか。


前払いだと言って無茶苦茶なことをやらされたのは忘れたくも忘れられない記憶だ


しかし、今の状況なら希望があった。後から色々あるだろうが、幸い賭けがあるし、後払いなら賭けで何とかできる。


進学科に入った途端に目当ての人物は目についた


昨日のあの様子なら学内を彷徨くだろうことは予測の範囲内


作戦立案をするにあたって下見をしたいんだろう


だからこそ間に合うようにチャイムの合図で飛び出したのだ。授業の方は終わってたはずだが


・・・・・・・・・・・・・・・・・・考えたくないな


それより


「古川つばさ。」


声を掛けないとそのままどこかへ行きそうな女帝を呼び止める


古川つばさは気怠そうに振り向いた


「何の用よ?」


不機嫌な理由はわかる。目が違う。


あの目で不機嫌ってことは有効な作戦を思い付いていないのか、それとも駒が足りないのか


何にせよ思わしくないんだろうな


「さっさと言ってくれない?私忙しいんだけど?」


「あぁ、えっと、ちょっと頼み事があるんだけど」


「今じゃないといけないわけ?」


ピリピリしてるなぁ。まぁ昨日の今日だしな。それにしてももう少し押さえろよ。まぁいいか。これならやりやすいし


「あぁ、千、宮下先生の性別を調べてるんだが、知らないか?」


「知ってるはずないないでしょ?用がそれだけなら行くわ」


「逃げるのか?」


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