色葉
立ち去ろうと向きを変えた女帝の背に問いかける


いつもの古川つばさならこんな安っぽい挑発は鼻で笑っておしまいだ


しかし、今のこの状態は普通ではない。勝負事にこだわり、逃げる、怖い、負けるって言葉を許さない


予想通りに「誰のことを言ってるの?」と立ち止まりこちらを振り向く


うん。なんか凄みのきいた声でとても怖い


でも、挑発には乗った。あとは煽るだけでどうにかなるはず


「違うのか?わからないからこの問題から逃げるんだろ?」


わざと軽い調子でニヘラっと笑って言ってやる


この挑発は成功したらしい目が細まり獰猛な捕食者の色を帯びる


「へぇ、おもしろい冗談言うのね」


いつも思うんだが、この時のこいつは危うい気がする。怖いってより、ちょっと心配になるんだよな


しっかり見てくれる誰かでも出来れば良いんだろうが


こいつ身持ちが固いというか、男だしな。無理か


っと、今はそれより協力させないと


「じゃ、調べてくれるよな?お前ならできるだろ?」


「いいわよ。行きましょうか。」


不機嫌そうに言って歩き始める女帝の後ろ姿に声をかける


「行くってどこへ?」


「パソコンが使えるとこよ。データを見なきゃいけないでしょ?」


平然と違反行為をすると明言するなよ


というか「前にルールは守るって言ってなかったか?」


「違反はしないないわよ。」


「ハッキングって違反だろ!?」


「電気回線を使わないとハッキングにならないわよ」


いまいちどういう意味かわからないんだが、ハッキングってそうなのか?


まぁ深く考えるのはやめてついていこ


オレの為とも言えるしな


はぁバレた時に怒られるのはオレなんだろうな


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