色葉
「やっとおれの出番か」


秀はパンフを手に取り、オレに差し出してくる


「パンフがどうかしたのか?」


受け取って中身を見るが何の変哲もないただのパンフ


「陣って昔っから読書が嫌いだったから必要なとこしか読まないのよね」


心底楽しそうに笑っている古川つばさが憎いが確かにその通り


「だから、見開き1ページしか読まなかったでしょ?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?


オレは急いで次のページをめくり呆然とした


なんでなんで過去のオレは・・・・・・・・・過去のオレのバカァー!!!!!!


孫悟空ってこんな気分だったのか


自分でつかみ取ったと思った自由は全て


性悪な策士の掌の上の出来事


次のページも次のページも白紙が続き


最後のページに古川つばさの字を見つけて読んだ


『陣のバーカ。またひっかかった

陣が一人暮らししたがってるのはお見通しよ。で、私もちょうど行きたい学校が遠いのよだから良い機会だしまた一緒に行きましょうか


あぁそうだ。読書嫌いな陣の為に最低限の情報量のまとめておいたわ。感謝してよね



でも陣がこのページ読むのは入学した後ね


寂しいわぁ。こんな作戦に未だ引っかかり続ける貴方が。成長しないとこっちも悪戯のしがいってものが薄れるのよ。少しは成長しなさい



陣が気付く前に読んでしまった人へ

陣には黙っててくれないかしら?黙っていればきっと入学式におもしろいものが見られるわよ


by新入生代表挨拶する予定のものより』


つまり、確認するまでもなくこのパンフは偽物


人間絶望すると笑いがこみ上げてくるもんなんだな


はははははは


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