色葉
「大好きって言われたんだかららもう少し動揺してもいいんじゃない?」


意地の悪い質問だが、この距離で黙っていられるほど心臓が強くないオレはすぐさま応える


「それくらいには慣れました」


「でも、これには慣れてないのね。目が泳いでるわよ?」


それはそうだ。どこを見て良いんだかまるでわからない。


顔が赤いのも自覚できるし、誰かに見られたらと考えれば、恥ずかしさでどうにかなりそうだ


下では本当に楽しそうにクスクスと笑い声が響いてる


「石動くんはもうすでに立派な人よ?とっても私好みにね」


「ッ全然うれしくないです!!」


「その割に顔の赤みが増したみたいだけど?」


うぅ~。この状況じゃ不利だ


せめてこの腕を外したいのだが、暴れて、もつれて、悲惨なことになるって考えるのは考え過ぎなんだろうか?


恐ろしくて振りほどけない


「ねぇ、『キスはオレにとって罰だ』とか考えてなかった?」


図星を指され身じろぎしたのが伝わったらしい


千景先生の笑みが深められる。意地の悪い笑みだ


「その後は『罰ならしてあげようか』って私が言うとか?」


凄い正確に言い当てられ何も言えずにいると首に回されていた手が離れた


「え!?」と思わず漏れた言葉に後悔した


「期待した?」


『そんなはずない』って言葉は口から出なかった。絶句しているオレを満足そうに眺めて


「私はそんな軽い女じゃないのよ。」


ウインクしてからさっきまで寝ていた机戻り、ノートパソコンを取り出し、立ち上げた


もしかしてそれを言いたいが為にこんなことを?って言葉は、


肯定された場合オレはどっと疲れるような気がして聞けなかった


「罰だけどそこに積んである本を隣の空き教室の本棚に仕舞っておいて。私はここで一仕事してるから邪魔しないように」


身勝手なって思ったが、これ以上話す気力はなく


言われた通りに積んでる本を手に取り、数研をでた



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