色葉
放課後の教室で華は今日何度目かも知れないため息をついた


「今日も元気がないな。昨日後輩のことで悩んでたみたいだが、今日は違うだろ?どうした?」


「高橋!?いや、別にたいしたことじゃないよ」


さっきまで誰もいなかったはずの教室の入り口になぜかいた広之は近づき、華の傍の席に腰掛け、真摯な目を華に向ける


「今回は何を諦めるつもりなんだ?」


「え?」


「お前がそういう顔するのを見たのは初めてじゃない。前は文化祭の後に、副会長になった辺りにもそんな顔してた」


図星を指されたらしい華は表情が硬くなり、うつむく。


「あの時も今回も諦めた訳じゃない。ただ知っただけ」


「何をだ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・何でもない」


「あからさまに何かありますって反応だな。」


「構わないで!!」


机から勢いよく立ち上がり、広之を睨み付ける


「だったらその"何かあります。へこんでます。"って態度をやめろ。お前が思ってる以上に周りに心配をかけてる」



「そんなの私の勝手でしょ!!」


「そーだな。でも、普段の雛森ならそうは言わないな」


その言葉に苦々しく顔を歪め、パンッと乾いた音が響く


「それ痛いだろ?」


「でも冷静になれるから」


華は自分の両頬を両手で思いっきり叩いた



「話してみろよ。」


「え?」


「一人で考えた結果がそれだろ?人に話してみれば案外簡単に気付く抜け道があったりするものだ」


華は未だに乗り気でなさそう、目線を右往左往している。どう断るか思案中って感じ


「オレは信用できないか?」


華は何かを吹っ切るように長いため息をついた。


「本当に雛森は男前だな」っていう広之の言葉は聞こえたかどうか


華は語りだした



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