色葉
華の話を聞いてわかったことがある


これだけ聞ければいいんだが、こんなに落ち込んでいる女の子を放っておくのは主義に反する


それにこんな事を頼んだやつへの意趣返しをしたかったとこだ


でも女の子を使った意趣返しかぁ。これも主義に反するが、この子にとっては良いことかもな


そう割り切って切り出す


「雛森は誰に認めて欲しいんだ?」


気付いていない本人に気付かせてあげるように


「え!?」


「何も出来ないって言ったけど、オレから見れば雛森は十分色々やってる


今日クラスの奴らの半分に『雛森が元気ないみたいだけど知ってるか?』って聞かれた


それだけ雛森はみんなに頼りにされてる。」


「そんなに心配かけた私が頼りになんか」


「どーでもいい人を心配したりはしない。よく見てなければ変化に気付かない。それだけ注目されてるってことだ。


それに雛森の真摯な態度は様々な人に影響を与えてる。


愛梨から聞いてないか?下級生に頭下げるなんて雛森に会わなければ考えもしなかった


オレは雛森から色々なことを学んだ。


雛森だからオレは気付けた」


「私はそんな」


狼狽えた声を出し、戸惑った表情を浮べる華


嬉しそうな顔はなしか。ちょっと落胆したが、まぁ僕じゃないし


「考えておきな。」


広之は言いながら立ち上がる


「雛森は誰に認められたいのか。少なくともこのクラスに雛森が何もできないって認識はないから」


本当は頭を撫でたいが、自粛しよう。一生懸命考えていて周りは目に入ってない様子だし


こんな良い子が静のことを好きになるなんて。会って話すまでは信じられなかった


本当に可愛い子だ。


広之はゆっくりと華の考え事の邪魔にならないように教室を後にした


今度絶対、生身で会ってメルアドゲットしようと心に決めて


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