色葉
オレは今までとは違う反応に驚いた


秀は未だに何かを考えいるがどこか納得してる雰囲気がする



何に納得していて、何を悩んでいるかは窺い知れないが


キーコーカーコーン


ホームルームの予鈴が鳴り響く


秀はその音にハッとし、オレに声をかける


「ホームルームに遅れちゃいけないし行こうか」


オレを置き去りにして空き教室から出ようとする秀


オレは慌てて引き留める


「ばからしいって笑わないのか?ふざけるなって怒らないのか?」


秀はキョトンっとした後、得心したらしい


軽く吹き出して言葉を発する


「ふふふ。別にそこはおれにとって重要なとこじゃなかったんだよ


それにおれには・・・・・・・・・・・・・まだこれはいっか。


陣くん。オレは陣くんを傷つけないよ」



言いかけてやめたのは気になったが



"傷つけないよ"という言葉に全てが真っ白になった


やっぱり秀は良い奴だ


言って良かった初めて心からそう思えた


「さぁ行こうか」


秀はオレの手を引いて教室に戻った



この時は秀に感動すら覚えていて気がつかなかった



この行動がどういった結果になるのか



いや、多分普通の人間に見られていても絶対“あぁ”はならない


だからこそ冷静な秀だってこの時は気がついてなかった


オレと秀がこの行動の結果を知るのは半年後の文化祭のこと

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