色葉
しかし、オレにははったりと断じるほどに勇気はなく


「なんで?」


と非を認めるようにきいていた


長にはその一言で伝わったらしい


「元気よく走る姿がそこから丸見えだった」


指さす方向は窓



そこまで気が回らなかった


言い訳しようと口を開けた時


「言い訳はいいから」


とオレの口上を遮る


そしてツウーッと窓を指していた指を教壇に向ける


「起こしてきなさい。それで許してあげる」


教壇にはこの喧噪の中でも寝続ける担任がいる


「どうしてもやらなきゃダメか?」


「いいわよ。クラス長権限で一生忘れられない思い出作りさせてあげる」


とにっこり


でも目が笑ってない


怖!!!!!


しかも目がマジだし




長はオレに一生もののトラウマ植え付けようとしてる!!!!!



「行かせてください」


「じゃ、よろしく」


長は今までの迫力が嘘のような可愛らしい笑顔を浮べている


誰だこの人に権力を与えた人間だ


迂闊なことができない




これは後日談ではあるが


長がクラス長に推薦されたのは


万年発情期サルの相手に困っている女子を


鮮やかかつ速やかに救出したのが


彼女らしい




これにより女子の指示は長に集まり


見事1票差でオレに勝利するわけである


ちなみに女生徒の救出方法はサルの排除だった


そのサルは30分は意識を失っていたらしいので


その威力といったら想像を絶するだろうと秀


確かにオレと秀でぶっ飛ばしても10分したら起き上がるような奴だ


怖!!!!



ちなみにこの1票差とは気絶中のサルの1票であり


長もとい石岡沙織を発掘したのもサルである


と言うことはだ


戦犯はサルもとい清である


この話を聞いた後オレが清を殴ったのは言うまでもないだろう


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