色葉
勝ち誇ったような笑みを見せる園原美鈴


あの時気が動転していて聞き方が悪かった


悔しい思いをかみしめていると笑い声が響いた


その方向に目を向けるとエリサが笑っていた


スゲー綺麗


笑っているために揺れる髪が陽光に当たってきらめき、可愛い笑顔がより際だって見えた


「二人とも話題が逸れてますよ?」


美鈴はその声に決まりが悪そうにし


オレは見とれていたのに気づき慌てて目線を外す


「石動様そう気を遣わずに気楽に話してください。」


「そう言ってもらえると気が楽だな。古川つばさについて知りたいんだっけ?」



「えぇ。でも石動様には必要最低限なことだけお聞きします。古川つばささんは今回の新入生歓迎イベントに出ますか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・え!?出ないってことが可能なのか?」


2・3年の先輩方の乗り気が尋常でなかったから


そんな選択肢があるなんてことすら思いつかなかった


「えぇ、調べでは去年の文化祭の時は特別科の一部がボイコットしてます」


「美鈴、ずいぶんと口調が砕けたな」


キッと睨まれ「貴方に敬語なんて使っていられません」と言われた。


何かしたかな?


「クスクスこんな美鈴が見られるなんて。石動様はおもしろい人ですね。」


「こんなやつ全然つまらない人間ですよ」


何も吐き捨てるように言わなくても


「真面目な話。特別科だからこそと言いましょうか。色々と特別科は他の科と違う事情があるのです。だから石動様のような人と話すのは楽しいです」


うわぁめっちゃ照れる。


こんな美人に微笑みかけられるって直視できない


「何照れてるんだぁ?エリサお嬢様が貴方みたいな下賤な輩を相手にするはずねぇだろ。第一・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


いつの間にか背後に回り、エリサには聞こえないように小声で聞こえてくる怨嗟の声をBGMにこの幸福感に暫し浸った

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