色葉
「あれ?あれは確か石動だったかな?」


「誰それ?」


「1年1組の石動だ。説明しにいったから顔を見てるはずだぞ?」


「どれどれ、見せて、見せて」


見せてと騒ぐ水原愛梨を抱えて見せてやる


水原愛梨にとっての窓からの景色はもっぱら空である


下の中庭には中庭への出入り口からこちらに向かって来る石動陣


「・・・・・・・・・・・・・・・わかんないや。それにしても生徒会はすごいね。名前覚えるの必須なんだっけ?」


「あぁ、でも私は進学科と特殊科の新入生は自信がないな。会長は全員わかるみたいだ」


「うわぁ、流石すごいね」


「それでも、先代と比べらればっというのがついて回っている」


「歴代最秀か」


「そう。"優"の名を冠されない。最優秀は他にいるっていう無言の非難」


「大変だねぇ。正直前の会長が何かしたって記憶ないんだけど」


「あの人は制度と保護者会との関係を大きく変えただけだからな。生徒にはわかりづらい。


それでも今年はまだいい。言われるのは教師や保護者会だけだった。


問題は来年だ。当代の生徒会長は目に見えて優秀過ぎる。


比べられる次代の会長は悲惨だぞ」



「そうだよねぇ。誰がなるんだろ?そーいえば雛ちゃん。あの子中庭で何してるんだと思う?」


「ん。何だろうな。こっちの方向に池しかなかったと思うんだが、聞くか」


そういって雛森華が窓を開けた


「な『あ、屈んだ』」


水原愛梨の言葉が終わるか終わらないかのうちに


ドボーンって音をあげ池に落ちた



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