色葉
ほけんとうのぬし
池が浅くてよかった


溺れはしなかったが、目撃者はいたらしい


「あはははははははははははは」


笑い声響いてる


上を見れば愛梨先輩を抱えてる雛森先輩という図が見えた


愛梨先輩ってそんなに背が低いんだ


笑い声は愛梨先輩でオレを指さして大爆笑してる


雛森先輩の方は目を背けているからよくわからないが


肩が震えてるあたり笑いを必死でこらえてるのか?


「はぁ~最高。そこで何してたの?」


正直言えば、はめられたのか?


どこまでがあいつの作戦通りかわからないし、あいつ敵だしな


「実地検分です」


「ぶ、そ、それで、・・・・・・・・・ダメ、ははははは。雛ちゃん見た!?見事に落ちたよね。ははははははは」


「今、私に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・話、ふふふ・・・・・・かけるな」


「いいですから。スッキリするまで笑ってください」


『あはははははははははは』


「最高。近年稀に見るおもしろさだよ」


「確かに。吸い込まれるように頭からいったな」


「コントだよコント」


『本当に最高』


その後も二人して散々笑いあった


タイミングを見計らってオレが口を開く


「満足できましたか?」


「まぁだいたいねぇ。で、いつまで池の中にいるの?」


「今後を考えていて忘れてました。先輩方どっちかタオル持ってませんか?」


「えぇ~絶対貸さないよ?臭くなるじゃん」


薄情な


でも正論だよな


「はぁ。保健棟にいけば着替えがあるし、プールのシャワー室を開けてもらえるように交渉してきてやる」


「雛森先輩。オレ初めて先輩が頼もしく見えます」


「よし。喧嘩なら買うぞ?」


半眼の雛森先輩を宥めすかして


雛森先輩はシャワー室の使用許可を


愛梨先輩はオレと一緒に保健棟に行ってくれることになった




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