色葉
「愛梨先輩がそんなに薄情とは思いませんでした」


「いいじゃない。タオルは貸さないけど一緒に行ってあげてるんだから」


「確かにそうですけど、次の授業いいんですか?」


「あぁ大丈夫大丈夫。可愛い後輩くんを保健室につれてくってメール打っといたから


あ、そう言えば携帯大丈夫なの?」


「オレ持ってないんですよ」


「嘘!?高校生にもなって珍しいね。こりゃクラス代表が大変だ」


「なんでです?」


「知らないんだ?携帯ないやつへの連絡は直接行かなきゃならないんだよ」


「それであんなに携帯持てって言ってたのか。」


「で、今何してるんです?」


隣の愛梨先輩はさっきしまった携帯を取り出しすごい早さで親指が動いてる


「あぁ、ひろちゃんにメールをね。石動陣って1年生が遅れるから伝えるようにって」


「そうなんですか。オレ初めて愛梨先輩を尊敬しました」


「それ褒めてるのかなぁ?」


携帯をパタンと閉じ、来た道を振り返る


「これの後始末も頼んどいた」


中庭から保健棟に行くには絶対校舎の中に入る必要があり


「歩んだ道って感じですよね」


スポーツ科の廊下を点々と続く足跡


「って高橋先輩にそんなことさせていいんですか?」


「大丈夫。ひろちゃんは連絡してあげれば怒らないから」


それは色々諦めたってことなのかな?


譲歩の結果な気がして高橋先輩を不憫に思ってしまった


あの先輩中間管理職って感じだよな


雛森先輩や愛梨先輩のフォローしかしてない気がする


「高橋先輩と愛梨先輩はつきあい古いんですか?」


「んーん。去年部活であった」


「え!?じゃあ、雛森先輩とは?」


「去年ひろちゃんを通じて。」


ええっと。愛梨先輩って「あぁ~思いついた。ずっと考えてたんだよね」


うわぁ嫌な予感するなぁ。できれば聞きたくないが


瞳を輝かせて聞いてオーラ放ってるこの人無視できる人いるんだろうか?

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