色葉
「おぉ、愛梨珍しいな。サボりか?」


保健棟に居たのは男だった


タレ目でぼんやりした顔をしている20代~30代前半な感じの若い先生だ


って普通保健医って女性なんじゃ


「そんなことするわけないでしょ!?私は付き添い」


「そこは嘘でもオレに会いに来たって言えよ。男心のわからないやつだな」


「豊ちゃんの言う通りのこと言ったら襲われちゃうからダメってクラスのみんなが言うからヤダ」


「悲しいねぇ。オレよりクラスの奴らを取るのか」


そこで何か思いついたような顔して

「そーいえば、愛梨。襲われるって意味わかってるのか?」


首を傾げる愛梨先輩に我が意を得たりというように保健医の口元が歪む


「よし、愛梨オレが丁寧に教え『やめてください』」


保健棟を汚すのはマズイと思い中に入らなかったが、こいつの管理する場所ならいいや


愛梨先輩を庇うように保健医の前に立つ


「で、このずぶ濡れの少年は誰?」


「池に落ちた石ちゃん」


「ぶ、い、池って。あははははっはあはっはっは。高校生になって落ちるか普通!?あはははははははははははは。バカだ。本物のバカがいる。ははははははっはははは」



苦しいって言いながら涙目で笑い続ける保健医


確かに池に落ちてずぶ濡れの奴がいたら笑いたくもなるが、我慢するのが大人じゃね?


このダメ人間め


「あぁ、久々にここまで笑ったわ。やっぱ高校の教師はおもしろくていいな。


バカが絶えないこの学校は特にいいぞ。

ちなみにお前は近年稀に見る大バカだ。誇って良いぞ。」


「おぉ~豊ちゃんにここまで気に入られた人初めて見た」


「全然嬉しくないです。ってあんたなんて不純な動機で教師やってんだ!!!」


「お前そんな口聞いて良いと思ってるのか?替えの制服貸さねぇぞ?」


「すいませんでした」


人の弱みにつけ込みやがってダメ人間


「全く。入学初日から担ぎ込まれて、翌日に池に落ちる。こんな奴は初めてだ。


うん。お前おもしろいから保健棟に適当に来て良いぞ?」


「遠慮します!!!」


力強く辞退を申し込んだ


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