桜の嵐


「俺さ、今日誕生日なんだ。一年に一度。今日くらい、断らないでよ」



 いつものからかった感じとは違う、少し寂し気に眉を下げた笑顔。

 そんな顔して、その言葉、卑怯だよ。



「……分かった」


 これからも毎日のようにつきまとわれるのは、たまったものじゃない。
 それなら一度だけ。

 掴まれた手を、ほどいた。



「その代わり、これで最後にして。二度と私に構わないって約束して」


 そう、諦めて再度席に着く。



「ほんとに!?」


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