桜の嵐
消せない過去
眠れないまま朝を迎えた、翌日。
………学校、行きたくないな…
溝口君と顔を合わせたくない……
でも。
気乗りしないけど、これ以上講義を休む訳にはいかない。
重い体を無理矢理言い聞かせて起き上がった、時。
枕元の携帯が、鳴った。
「もしもし?」
『美桜?お母さんだけど』
久方ぶりに聴く、母親の声。
「どうしたの?」
ずっと疎遠になっていた家族からの電話に、驚いた。
お母さんは‘元気なの’とか‘ちゃんと食べてるの’とかとりとめのない話をした後、本題を切り出した。
『――実は今週末、淳くんの三回忌があるんだけど……』