桜の嵐

 淳兄の気持ちを無視して事を運んだ大人達は、皆一様に私を蔑むように一瞥する。



 どうしてっ…、

 どうして――!


 私は、淳兄を想って泣く事も許されないの?



「しばらく、遠くに行かないか…美桜。あちらのご両親が、お前の顔を見るのはつらいんだそうだ……」



 親にも、加害者のように扱われた。

 私を思い出させる庭の桜は斬り倒された。


 皆が隠そうと、無くしてしまおうと、淳兄の想いを封印する。



 ―――それならば。


 私が、持って行く。


 淳兄が愛したこの体ごと、忘れずに持って行く。



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