桜の嵐


「―――え…」



 突然の告白に涙が止まる。


 結婚…?
 淳兄が……?

 嘘だよね?



「政略結婚。俺なんて、親の道具でしかないんだ」



 言いながら髪をすく淳兄の指は優しくて。

 どうしてそんなに、愛しそうに見るの?



「ごめんな。痛かったろう?」



 涙の跡を撫でながら、淳兄は泣いているように微笑んだ。


 いつも冷たい淳兄の、手。



「なぁ、美桜。俺を憎んで。嫌いになって」



 嫌いに?淳兄を?

 無理だよ、そんなの。


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