桜の嵐


「……俺を、見て」



 もう一度、溝口君は言った。


 茶色の髪が、揺れる。

 同じ色した瞳が、熱い。



 私を囚える。




「俺は、死なない。ずっとずっと、美桜の隣にいる。何があっても……」



「―――っ…」



 ―――ダメ。

 溝口君の言葉に、瞳に、体が強張る。



 これ以上は、ダメだよ……!



 小さく首を振った私を、溝口君は抱き込んだ。

 大切に大切に、慈しむようにそっと回された、腕。


 優しくて、あたたかい……




「――美桜が抱えた傷ごと、俺は守るから」



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