桜の嵐


 無理矢理に開かされて貫かれた身体。

 愛撫もなく、全身がきしんだように痛い。


 あんなに酷い事をしておいて、どうしてこんな優しいキス―――、



 窓の外。
 庭に立つ桜の樹が、さぁっと揺れる。

 部屋に舞い込む花びらが、淳兄を包んだ。




「約束だよ、美桜。

 俺を、忘れないで……」




 最後にもう一度優しく髪を撫で、淳兄は部屋から出て行った。



 桜の花びらが、降ってくる。


 ひらひら
 ひらひら……


 ただそれを、ぼんやりと眺めていた。


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