桜の嵐


 ―――どれだけ酷い事をされても。


 嫌いになんてなれない。
 憎むなんて、出来ない。


 体に刻まれた傷みごと、淳兄を愛してる。



 その望み通り、私は淳兄を忘れられなかった。

 あれから四度目の、桜の季節。

 桜吹雪の中でだけ、私は泣く。



 触れる花びらも。
 包まれる香りも。

 全部、あの日の淳兄そのものだから―――…



< 6 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop