桜の嵐
桜の樹の下
「笠井さんは、サークル何に入ったの?」
唐突に掛けられた声に振り返り、そこに立つ人物に目を瞬いた。
「私……?」
「うん、そう」
聞き直すと、満面の笑みで頷き返される。
なんで?
なんで、私?
入学して間もないながらも、既に取り巻きが大勢いる程の人気者の、彼と。
私の接点は、皆無。
同じクラスではあるけれど、大学のクラスなんてあってないようなもの。
同じ講義を受けてる訳でも、ない。
だから彼、溝口君が私の名前を知っている事に驚いた。