秘密な私の愛しき人
ボーイの男子が穂樺に近づいた。


「うん。大丈夫!ありがとう、上田くん」


穂樺が笑顔で言うと上田の顔が赤くなった。


こいつ…穂樺のこと好きなのか…


「琉!顔、顔っ!」


「あっ…」


樹の言葉で握っていたカップを離した。


俺いつの間にカップを握ったんだ…?


クックックと樹が笑う。


「お前、面白すぎ!穂樺ちゃんが襲われていた前後の顔とか、すっげえ眉間にシワよってたぞ」


「うっ、うるせー」


顔を背けた。


「なんか感情的になってる琉を久しぶりに見た気がするよ」


「…もう行くぞ」


そう樹に声をかけて店を出た。

くそ…
樹にバラすんじゃなかった。


「なぁ…琉。次にどこ行く?」

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